夢とロマンと実益と
いつも、ありがとうございます。
本日をもちまして、私は医療法人メディカルビットバレーの理事長を退任いたします。3月21日に公開した記事では、ビジネスパーソンだった私が医師を志した理由、そして「地方医療の最適化」という仕事を、メディカルビットバレーでどのように進めてきたかお話ししました。
今回は未来についてお話しします。この春から、私は新たな取り組みに挑戦し、実現を目指していきます。理事長退任は私にとってポジティブな決断であり、新たな挑戦への出発点です。「医療に革命を起こす」というビジョンのもとに構築した「長岡モデル」のスキームを全国に展開するため、これからも全力で取り組んでまいります。
故郷・長岡から、大阪へ
今春、理事長退任のほかにもう一つ、大きな変化があります。それは「大阪」への移住です。
大阪移住の理由は、新しいプロジェクト関係者の多くが関西を拠点としているためです。
例えば、日本医学放射線学会の理事長・富山教授は大阪大学、プロジェクトを一緒に推進してくれるシップヘルスケアホールディングスも大阪に本社を構えるほか、多くの仲間たちが大阪に集中しています。計画が本格始動する今、まずは近くにいないと始まらないと感じ、移住によって機会を最大化したいと考えました。
大阪移住を決めたのは「直観」です。私はロジカルに物を考えるタイプですが、その一方で「直観」を大切にしてきました。これまでの人生の分岐点でも、直感を働かせて、チャンスをつかんできました。大阪移住が、私の成し遂げたいことに不可欠だと直感しました。
メディカルビットバレーと切磋琢磨
私が理事長を退任することは、メディカルビットバレーにとってもプラスに働くと考えています。設立から5年、準備期間を含めると7年半、トップとして医療法人の企画・運営を担い、医療と経営の分離と融合を推進しながら、チーム体制での医療提供を実現してきました。従来の医療業界の常識とは異なる取り組みでしたので、紆余曲折しながら新たな医療の形に挑戦を続けてきました。
メディカルビットバレーのメンバーには、新しい医療とは何かを理解してもらえたと感じています。今後は私がいなくても、彼ら自身が新たな医療の形をさらに推し進めていくことが重要です。「地方医療」の崩壊を防ぐためには、当事者意識を持ち、自らの手で新たな医療を構築する必要があります。私の退任は、メンバーが主体的に新しい医療を作り上げるチャンスでもあります。
メディカルビットバレーの成長は私の励みであり、マネジメントビットバレーの発展がそのブランド価値を高める補完関係にあると考えています。私はメディカルビットバレーから一歩外に出ますが、互いに良きライバルとして切磋琢磨し、長岡に新たな医療を根付かせるために尽力していきたいと思います。
新しい医療を作る「カイゼン屋」
医師免許を取得し、医師として活動してきましたが、私は「カイゼン屋」としての自覚を持っています。医療業界に身を置いた理由は、改善したいという願望、正確に言うならば、改善せざるを得ないという強い危機感からでした。実際に入ってみるとあまりに改善することが多く、これはもう新しい市場を作れると確信しました。医療業界は長きにわたり法律や政策によって守られ、安定した医療サービスを提供する一方で、閉鎖的で保守的な価値観や慣習が根付いていました。
しかし、21世紀も四半世紀が過ぎようとしている現在、医療業界はその旧体質を脱却できず、崩壊の危機に直面しています。ビジネスの世界では当然のことが、医療業界では見過ごされています。社会主義的な業界構造が制度疲労を起こしており、資本主義の論理を注入しない限り、医療業界に未来はありません。
例えば、医師のスキル差にもかかわらず、収入に大きな違いが生じない現状があります。優秀な人材が高収入を得るというビジネス界の常識が医療業界では通用していません。その結果、医師がスキルアップを志す意欲を失い、優秀な医師が育たなくなり、地域の医療サービスが低下します。医療従事者の努力が報われ、収入という形で還元されれば、医療サービスの質は向上し、人々の生活も改善されるでしょう。 メディカルビットバレーが長岡で取り組んできた新しい医療は、全国で必要とされています。「カイゼン屋」としての私の次の使命は、マネジメントビットバレーを通じて「長岡モデル」を全国に広め、新たな医療を日本中に浸透させることです。
事業の循環と成長に必要なこと
私は「夢とロマンと実益」を仕事の流儀として大切にしています。どの要素が欠けても、組織や事業の持続可能な成長は不可能だと考えています。地方の活気が失われつつある今、特に若者が前を向き、明るい未来を築くためには「夢」が必要不可欠です。
地方医療の改革は、地方創生における重要なキーポイントです。地方経済を新しい仕組みで循環させる中核に医療を据えることで、地方医療の新しい形を創り出す。それは地方の活性化への第一歩であり、最終的には「夢」がある地方生活を実現することに繋がります。
新しい経済のメカニズムを構築する際には「利益」を意識し、稼ぐ力を身につけることが重要です。「夢とロマン」に「実益」を組み合わせるのはこのためです。資本主義の論理を取り入れた医療業界の改革は、20世紀の後半から続く日本の構造改革の仕上げとも言える取り組みです。「夢とロマンと実益」を胸に抱きながら、私は挑戦を続けます。
地方創生に新しい医療の力を活かし、新潟、そして全国の地方を元気にしていきたい。私はメディカルビットバレーを創業した頃から初志貫徹、志は変わっていません。2020年エールホームクリニックの地鎮祭での所信表明をブレずに貫いています。ここからが本番、行動あるのみです。
引き続き、皆さまからの熱いエールをよろしくお願いいたします。
▼所信表明 ~2020年3月26日 エールホームクリニック地鎮祭~
澁谷 裕之(しぶや ひろゆき)
医療法人メディカルビットバレー 理事長
新潟県長岡市生まれ。
弘前大学医学部卒業。
2020年4月に医療法人メディカルビットバレーを設立。
家庭医療専門医、プライマリケア認定医。
好きな言葉は「即断即決即実行」、「適材適所」。
