エールホームクリニック

エコー ~特別編~

「⾔葉にできない訴え」に寄り添う

医療の進歩にともない、様々な検査ができるようになりました。多くの検査をすればお体の状態について詳しく知ることができるでしょう。しかし、検査には痛みや被爆を伴うものもあります。気軽に受けられる検査ばかりではありません。
超⾳波(エコー)検査は痛みも被爆もなく、多くの情報を得られる画像検査です。
当クリニックでは、最低限のお体の負担で適切な診療を提供できるように、エコー検査に⼒を⼊れています。

エコー検査とは

機械から耳に聞こえない音波を出し、体から跳ね返ってきた音波(エコー)を画像にします。リアルタイムで体の中を映し出すので、静止画ではなく動画で体内を捉えることができます。病気によってはCTやMRIよりも有用なこともあります。しかも、痛みも被爆もないため、繰り返し行うことが可能です。当クリニックでは最低限の侵襲で適切な診療を提供できるように、エコー検査に力を入れています。

小児のエコーについて

小児科ではこどもに優しい画像検査として、全身に使うことができます。こどもは動いてしまうため、おもちゃで気を引くなど工夫が必要ですが、皮下脂肪が少なくエコーが通りやすいので、大人よりきれいな画像を撮ることができます。特に腹痛の診療で、自分の症状をうまく説明できない乳幼児に行うと効果は絶大です。例えば腸重積は腸の中に腸がはまり込んでしまう病気です。典型的には腹痛、嘔吐、血便がみられますが、症状が全部揃わないことも多々あります。乳幼児に多い病気で、痛みを詳しく訴えられないことがほとんどです。そのため、「何となく元気がない」「不機嫌に泣いたり、泣き止んだりを繰り返す」など、はっきりしない症状を手掛かりに診断しなければなりません。一部の腸がむくんでいるため、お腹を詳しく触るとオリーブくらいのしこりが触れるのですが、痛くて泣いている場合、お腹に力が入るため熟練した小児科医でも診察が難しいのです。しかし、症状や診察だけで診断するのが難しい場合でも、エコーをするとむくんだ腸管がドーナッツのように見えるため診断できます。このようにエコーには「何となく元気がない」という症状を「腸がはまりこんでむくんで痛い」と言語化する力があります。
また、腸の中にある便が柔らかいのか、硬いのかもある程度予測することができます。エコーでは水に近いものは黒く、骨のようにエコーを通さないものは白く映ります。そのため、水様便がお腹に多ければ腸の中に水が溜まっているように見えるのです。胃腸炎の初期にで下痢がなくても、「お腹の中に水様便がたくさんあるので、近々下痢になりますよ。」など、症状の変化を予測できることもあります。

関節エコーについて

関節炎の診察は、実際に見たり触ったりして、色みや熱っぽさ、腫れや痛みを評価することが基本ですが、実のところ、わずかな腫れなどを的確に評価するのは難しいです。そんな時にエコー検査が役に立ちます。エコーでは、骨の表面や軟骨の変化、関節炎(関節液貯留、滑膜組織の肥厚、血流シグナル検出など)の有無や程度、関節内の結晶の有無、関節周囲の変化(腱の炎症や付着部炎など)を評価することができます。診断時、炎症の数値やリウマチの反応が陰性の場合に関節炎があるかを確認したり、関節リウマチと、結晶誘発性関節炎や乾癬性関節炎など他の関節炎疾患と鑑別したりするのに利用します。また、治療後は、痛みが続いている関節がある場合や、寛解のようだが治療薬を減量・中止できるか判断に悩む場合など、エコーで炎症が残っているかどうかを確かめたりします。

皮膚・表在のエコーについて

皮膚表面からはみることのできない皮下の「しこり」の評価もエコー検査の得意とする分野です。
よくみられる「しこり」には、粉瘤(皮ふでできた袋に角質が溜まったもの)、脂肪腫(脂肪のかたまり)、石灰化上皮腫(骨のように硬いおでき)、腫大したリンパ節、などがあります。典型的なものは視診・触診などの診察で診断できることが多いのですが、時に難しいこともあります。
そのような時に大活躍するのが、エコー検査です。エコーは、「しこり」の中身を皮膚を切ることなく高い精度で判別できます。袋のようなものなのか、中身の詰まったものなのか、血液の流れがあるのかないのか、など。
また、粉瘤や脂肪腫を手術して取るときには、術前に血液の流れが無いかを事前に確認できると安心です。手術をしない場合にも、このまま様子をみてよいものか、大きな病院での詳しい検査が必要か、などの参考になります。痛みのない検査なのでお子さまにも安心して受けていただくことが可能です。
エコーは幅広い年代の「しこり」の診断にとても有用です。

腹部エコーについて

腹部エコーは人間ドックでも行われる検査の一つです。腹部には肝臓、腎臓、脾臓、膵臓など多くの臓器があります。腹部エコーで得られる情報量は多く、短時間で施行可能で被爆もないため検診に有用です。肝嚢胞や腎嚢胞、胆嚢ポリープ、脂肪肝などが見つかることがあり、胆嚢ポリープは定期的に腹部エコーを行ってサイズが増大していないかなどをみていきます。
肝臓は‘沈黙の臓器’と言われ、肝臓が多少ダメージを受けていても自覚症状は出ません。定期通院や検診で肝機能障害や脂質異常症など生活習慣病を指摘された方に、腹部エコーでの評価をお勧めします。積極的に腹部エコーを行うことで、自覚症状のほとんどない脂肪肝から慢性肝炎、肝硬変に至るまでの変化を画像で評価できたり、肝障害の徴候や早期の肝臓がんを見つけられたりします。
また、腹痛の原因となる胆石発作や尿路結石、虫垂炎を疑ったときに、体に負担の少ない検査として第一に選択されるのがエコー検査です。例えば胆石発作の場合、胆嚢が大きく腫れて炎症を起こしていたり、胆石が胆汁の通り道を塞いでいたりする様子をリアルタイムに観察することが可能です。尿路結石でも、結石が尿の通り道を塞いで腎臓に尿が溜まってしまうことで起こる水腎症の程度を知ることが出来て、診断と治療方針の決定に役立ちます。虫垂炎は‘外科医は虫垂炎に始まり虫垂炎に終わる’と言われるほど診断の難しい病気です。診察のみで確定診断することは難しく、多くの場合は画像検査を必要とします。エコーは被ばくすることなく行える検査であり、腫大した虫垂を直接確認することで高い精度で虫垂炎を診断できます。

心エコーについて

心エコーは心臓の働き(十分に血液を送れているか、壁の動き具合など)を体に負担なく、リアルタイムで見ることが出来ます。心臓は主に4つの部屋(心房、心室)と2本の太い血管(大動脈、肺動脈)、血液が一方向へ流れるようにするための4つの弁から出来ています。
‘歩くと息切れする’、‘足がむくんでいる’といった症状は、心不全(心臓の働きが弱くなった状態)が原因である可能性があり、心エコーで心臓の動きを評価します。
高血圧や動脈硬化が進んでくると血液が全身へ届きつらくなります。心室は強い力で血液を送り出し続けるため、徐々に心室の筋肉が厚くなります。最後には負荷に耐えられなくなり、心臓の働きが悪くなっていきます。健康診断でよく行われる心電図検査で『左室肥大』と言われる所見は、左心室の壁が厚くなってきて心臓の働きがよくないことを示唆します。そのため心電図異常を指摘された場合に心エコーは重要な検査です。
また心房と心室の間や、心室と太い血管の間にある弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流することや、弁が十分に開くことが出来なくなり血液の流れが滞ることを『弁膜症』と言います。『弁膜症』は健常者でも部位によっては多少ありますが、程度が大きい場合は治療の対象となります。心エコーではこの弁の状態や血液の流れ具合を観察してその程度を知ることが出来ます。診察で心雑音を聴取した際は『弁膜症』の可能性があり、心エコーで確かめます。

最後に

当クリニックでは各専門の医師や技師が診療にあたっています。エコーを単なる検査だけではなく、第2の聴診器として使用することで病気の早期発見に努め、必要があれば地域の総合病院へ迅速にご紹介致します。

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