『新型コロナワクチン出張職域接種の経験』
第119回日本内科学会に参加して
〜Dr.伊藤編〜
第119回日本内科学会講演会(2022年4月15日~17日)にウェブで参加しました。
わたしは一般演題「新型コロナワクチン出張職域接種の経験」の演者を務めました。
2021年6月~10月に、わたしたちが行った出張職域接種についてまとめたものです。
学会の抄録集を見てみますと、感染症のセッションは大半がCOVID-19に関する演題で占められ、それらの主な内容は重症化リスク因子、治療、ワクチン接種後の抗体価などでした。
そのような中で、わたしの演題は、田村先生の演題と同じくワクチン接種への取り組みがテーマでした。
わたしにとってZOOMを利用した発表は未経験で、演者として学会に参加したのも5年前の日本リウマチ学会総会・学術集会が最後でしたので、学会前日にウェブでリハーサルを行い、これまでにない緊張感を持って臨みました。
発表後の質疑応答では、座長の川名明彦先生(防衛医大)から「広い新潟県で、4ヶ月足らずの間に49回の出張と2万数千回の接種を行ったとのことだが、困難や失敗はなかったか。今後同じような試みを行う医療機関があるとしたら、よいアドバイスはないか。」とのご質問をいただきました。
わたしは、「遠方の出張に際しては朝早く出発して対応しました。わたし自身が困難や失敗を感じることはとくにありませんでしたが、接種に携わる職員の一人ひとりが少しでも問題に気づいたら、多職種のチームで協力して改善する作業をしていたのが良い結果につながったと思います。」と回答させていただきました。
COVID-19と日々戦っている多くの先生方の前で、わたしたちの行っている取り組みについて発表できたことは、とても意義があったのではないかと思います。
招請講演、シンポジウム、教育講演は、主にアーカイブで視聴しました。
招請講演「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現在と未来」では、岡部信彦先生(川崎市健康安全研究所)が、COVID-19の致死率はまだ高いものの、三密の回避、ワクチンや治療薬・治療方法などの大きな進歩を踏まえて「注意をすれば普通の生活ができる」withコロナの時代は遠からずくるとのお考えを述べられていました。
シンポジウム「分子標的薬が変える内科学」では、関節リウマチにおけるJAK阻害薬の他、全身性エリテマトーデス、血管炎などで近年使用されるようになった薬剤についてわかりやすい解説がなされており、知識の整理ができました。
「再生医療の最前線」では、横尾隆先生(慈恵医大)による、ブタとiPS細胞を融合したハイブリッド腎臓による腎臓再生医療のご講演が強く印象に残りました。現状ではまだ動物実験段階とのことでしたが、近い将来、透析に替わる医療として実現することを願わずにはいられませんでした。
教育講演は、外来で日常的に診療する機会の多い胃食道逆流症(GERD)、高齢者糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)などを中心に視聴しました。各疾患の病態について学ぶとともに、診療ガイドラインなどを改めて見直すことができて、とても有意義でした。
今回学んだことを、明日からの診療に活かしていきたいと思います。