エールホームクリニック

「そうだ、学会行こう」

『リウマチを取り巻く最近の話題』 第65回日本リウマチ学会学術集会 〜Dr田村編〜

2021年6月9日

今年のリウマチ学会学術集会(完全WEB形式)に参加しましたのでご報告いたします。

昨年からほとんどの学会・研究会がWEB開催または会場とWEBの同時開催の形となり、運営側も私達参加者側もだいぶ慣れたというのが最初の感想です。
米国リウマチ学会(ACR)・欧州リウマチ学会(EULAR)からの演者もWEB参加して国際シンポジウムが開催され、学会の内容が縮小された印象はありませんでした。学会の全体的な内容は、新しいトピックスが発表されたというより、ここ最近の話題がまとめられていたように思います。
関節リウマチ(RA)に対して国内で5種類のJAK阻害薬(JAKi)が使用可能となり、各JAKiの臨床試験では、複数の生物学的製剤(bDMARD)抵抗例にも高い有効性を持ち、bDMARDと同等かそれ以上の効果が期待できる結果が示されています。実際にこの数年で私もJAKiを処方する患者さまが増えましたが、その中で、“JAKi間に効果・副作用の違いがあるか”、“実臨床でbDMARDとJAKiをどう選択し使い分けるか”が知りたいところでした。まず、JAKi同士のhead-to-head試験は行われていませんが、田中良哉先生(産業医科大学)らによる有効性の間接比較2試験にて、1つはバリシチニブ>トファシチニブ、もう1つはトファシチニブ= バリシチニブ=ペフィシチニブとの結果であり、JAKi間で有効性に優劣はつけられません。
安全性について、ウパダシチニブ(JAKi) vs アダリムマブ(bDMARD)の比較試験でウパダシチニブ群に帯状疱疹・CK上昇の頻度が高いものの、重症感染・悪性腫瘍・重症心血管イベント・肺血栓塞栓はほぼ同等との結果でした。JAKi間では、フィルゴチニブは他に比べて感染症頻度が少ない可能性がありますが、直接比較データはまだありません。
一方、心血管リスクを有する50歳以上を対象にTNFiと比較したトファシチニブの長期安全性試験の中間結果にて、トファシチニブで重大な心血管イベント、がんの発症率が高かったことがFDAより警告されました。
JAKiは新たな臨床試験や市販後調査の解析、使用経験を通じて、まだまだ今後理解を深めていく薬剤だと思います。その意味で、EULAR(2019年)やACR(2020年)が、初期治療抵抗例にbDMARDやJAKiの使用を同等に扱っているのに比べ、日本のRA診療ガイドライン(2020年)で“長期安全性と医療経済の面からbDMARDが優先される“と記載されたのも頷けます。
2020年ACR発表のRA治療ガイドラインも紹介されましたが、まずはMTXを十分量使用すること、ステロイド薬は短期間でも使用を避けることが望ましく、ステロイド薬ありで治療目標に達成した場合はDMARD調整によるステロイド薬中止が推奨されています。また、寛解維持時、DMARDはまずは減量よりも継続することが推奨されました。講演を拝聴し、特にステロイド薬に関しての推奨が印象的であり、ステロイド薬は日々の診療でより積極的に中止・減量を考慮し、初期治療でも投与の必要性を十分吟味せねばならないと感じました。
近年の傾向を反映し、乾癬性関節炎や脊椎関節炎のセッションが多く設けられていました。脊椎関節炎について、“機械的ストレスや腸内細菌叢が付着部炎の発症・炎症に関与する”、“IL-23がTh17細胞からのIL-22・IL-17産生を促し、IL-22は骨増殖に働き、IL-17はTNFとともに炎症・骨破壊に働く”といった病態の理解が深まりました。
また、体軸性脊椎関節炎へのTNFi治療は骨新形成・構造変化進行を抑制するという新たな研究結果を知り、知識をアップデートできました。
乾癬性関節炎は、TNFiの他、IL-12/23阻害薬・IL-17阻害薬治療のデータも多く集積し、これらの薬剤を比較したメタ解析も行われています。
効果発現までの時間など各製剤の特徴はあるものの全般的にほぼ同等の有効性が示され、病変の主座や合併症を評価した上で、適切な薬剤を選択するのが望ましいとのことでした。
しかし乾癬性関節炎は、末梢関節炎・体軸関節炎・付着部炎・指趾炎・皮膚乾癬・爪病変と病変部位が多岐に渡り、RAよりも複雑で、どのような評価法が正確に活動性や治療効果を反映しうるかをまだ世界的に模索している段階です。
皮膚科とのシナジー診療に当院でも積極的に乾癬性関節炎の患者さまの治療にあたれるよう、今後も勉強し、必要な知識・経験をしっかり積んでいきたいと思います。

1ヶ月の間少しずつ聴講し、SLEや強皮症、血管炎など他の膠原病の最近の話題にも触れることができました。
オンデマンドでの聴講は便利ですが、学会の場で旧知の先生方などと交流できないのは寂しく、来年こそは会場で参加したいものです。

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