ドクターズコラム特別編「新型コロナウイルスワクチン接種中間総括」
エールホームクリニックでは、2021年6月から新型コロナウイルスワクチンの接種を行っています。
12月現在まで接種は続いていますが、おおむね2回目の接種が終了した11月までの総括をしてみます。（2021年11月末時点で接種総数は70,710件です）
接種形態は多岐に渡っています。
ファイザー社製ワクチンを使用する個別接種、モデルナ社製ワクチンを使用する職域接種、アストラゼネカ社製ワクチンの接種センターという、国内で流通するすべてのワクチンを取り扱って接種を行いました。
さらに職域接種はクリニック内で接種したものと、新潟県内や群馬県の企業さまにうかがった出張接種の2パターンです。
当クリニックのコロナワクチン接種は、予約システムの構築、接種会場の設営、受付からワクチン接種という行程のすべてをクリニックスタッフ及び協力を得た共栄堂薬局薬剤師で準備し、運用を行いました。
予約システムは主に、クリニックのホームページからインターネット予約で行いました。
接種件数は平日最大400人、土日休日最大600人の規模でしたが、予約システムは大きなトラブルを起こすことなく運用できました。
接種会場の設営に関しては、看護師や運営部が主体となり試行錯誤しながら動線をデザインしました。
院内接種ではファイザー社製ワクチンを使用する個別接種とモデルナ社製ワクチンを使用する職域接種の動線を分ける必要がありました。
受付はクリニックに併設した2箇所のプレハブを個別接種と職域接種それぞれにわけて使用しました。
さらに接種場所として院内にワクチン接種専用ブースを作り、平日接種ではこのブースがメイン会場となりました（例えば、個別接種は内科診察室で行い、職域接種はワクチンブースで行うという方法です）。
休日の接種では共栄堂薬局を受付とし、クリニック玄関から入って左側の内科診察室と右側にある小児科診察室を使用することで動線を分けました。
企業さまが用意してくださった会場で行う出張接種では、出張前に看護師や事務、運営部スタッフが事前に会場にうかがい、会場のレイアウト作成を行いました。
出張回数は49回で、長岡市内はもとより、村上市、阿賀野市、上越市や群馬県前橋市までうかがいました。
コロナワクチンはすべての種類で、一つの容器が複数人分の用量になっているため、従来のワクチンに比べて準備に手間がかかるのですが、看護師と共栄堂薬局の薬剤師が連携することで、大量のワクチン準備をスムーズに行うことができました。
とくに出張接種ではワクチンの準備は薬剤師が複数参加し、多いときでは1日約1,200人分を準備しました。
実際の接種に関しては、問診と接種を医師一人一人がまとめて行うのが特徴です。
接種をワンストップで行うため接種時間が短く済み、副反応への対応もスムーズに行うことが可能でした。
院内接種・出張接種ともに受付から接種までの所要時間は約3分でした。待機時間が15分ですので、受付から会場を出るまでを20分ほどで終了することになります。
また、アストラゼネカ社製ワクチンでは、新潟県内唯一の接種センターとなり、11月末までに52件の接種を行い、新潟県内のさまざまな地域から接種を受ける方が来院されました。
7万件を超える接種で、救急搬送を要するアナフィラキシーショックなどの重篤な副反応は1例もありませんでした。
接種会場での対応を要した副反応は50件程度で、ほとんどが迷走神経反射で、全例が帰宅可能でした。
このようなスムーズな運用を可能にしたのは、クリニックスタッフ全員の信頼と協力体制があったことによるものであることは間違いないと思います。
今後、新型コロナワクチンは3回目の接種が予定されていますが、当クリニックではこれまでに培った運用方法を生かして、さらに少しでもみなさまのお力になれるようにワクチン接種や日常診療を行っていきたいと考えています。
※１ 新型コロナワクチン接種に関するスタッフ全員のレポートが公開されています。
※２ 今回の総括で記載した内容の詳細は、2022年に行われる第119回日本内科学会総会、第125回日本小児科学会総会、第121回日本皮膚科学会総会においてそれぞれ発表予定です。
エールホームクリニック医師一同
