エールホームクリニック

「そうだ、学会行こう」

『イベルメクチンとCOVID-19』 第120回日本皮膚科学会総会 〜Dr藤本編〜

2021年9月14日

第120回日本皮膚科学会総会 (会期:2021年6月10日(木)〜13日(日)/会場:パシフィコ横浜 /会頭:大槻 マミ太郎先生)にWeb参加いたしましたのでご報告させていただきます。

今年も昨年に引き続いて新型コロナウイルス感染症流行の影響で現地での参加はかないませんでしたが、その分自分のペースで理解と学習をすすめることができました。新型コロナウイルス感染症の影響は学会の開催様式のみならず、特別講演の内容にも色濃く反映されておりました。時代がWithコロナへの転換期にあることを身をもって実感いたしました。

本コラムでは、特に感銘を受けた「緊急提言 イベルメクチンはCOVID-19に対して有効か?」についてご紹介させていただきます。
ご講演をされたのは、本邦で進行中の医師主導治験「COVID-19患者に対するイベルメクチン二重盲検比較試験」責任者の山岡 邦宏 先生(北里大学医学部膠原病・感染内科学 主任教授)です。

イベルメクチン(商品名:ストロメクトール)は、皮膚科医にとっては疥癬治療薬として馴染みの深い内服薬です。疥癬はヒゼンダニの寄生によって起こる皮膚病です。病院や高齢者施設で流行することがありますが、その切り札がイベルメクチンです。疥癬に対しては必要内服回数も少なく安価であり、何よりも副作用が少ない薬です。とても地味な薬ではあったのですが、発見者の大村 智先 生らが2015年にノーベル生理学医学賞を受賞されたことで一躍脚光を浴びました。

このイベルメクチンですが、COVID-19治療の候補薬として再度スポットライトを浴びることになります。その背景となっているのがCOVID-19患者の死亡率を低下させたとされる多数の報告です。今の流行状況をみると「多くの報告があるのになぜ治療薬として認められないのか」という疑問が湧きます。しかしこれらの報告は観察研究という手法で検証されたものがほとんどであり、薬の純粋な効果や安全性を客観的に評価しきれていません。そのため我が国においても未だ正式な治療薬としては認可されていません。

一方、薬の純粋な効果を最も客観的に評価できるとされている研究デザインが、ランダム化比較試験 (RCT: randomized controlled trial) です。すでに他国ではCOVID-19に対するイベルメクチン投与RCTはいくつも実施されています。しかしながら、これらのRCTでさえ研究の手順や手法などに問題があるものが多く、一定の結果を示せていません。そのため現時点ではFDA(米国食品医薬品局)をはじめとする多くの機関もCOVID-19にイベルメクチンを投与することを推奨していません。本邦薬機法での特例承認における医学的根拠はRCTであれば何でも許されるというわけではなく、先進諸国の国際基準に準拠したレベルの高い臨床研究であることが求められています。

そこで山岡先生らは、イベルメクチン発祥の地である日本から質の高い医学的根拠を発信すべく、この臨床研究を立ち上げられました。具体的にはSpO2(血中酸素飽和度)95%以上の比較的軽症の患者さんを対象として、イベルメクチン 200μg/kg 経口単回投与群と非投与群(プラセボ群)の間でPCRが陰性化(=ウイルスクリアランス)までの期間に差が出るかどうかをRCTで検証されています。結果は本コラム執筆時点で公表されておりませんが、本研究によってイベルメクチンの有効性と安全性が示されれば、COVID-19治療薬として多くの患者さんを救う切り札となることが期待されます。また、もし望むような結果が得られなくとも、大変意義の大きな研究であることにかわりはありません。

医師主導治験の実施には大変な労力を要します。COVID-19流行の最中にあって日々最前線で治療にあたられている施設でこのような研究が並行して行われている事実を知り、ご関係の皆様のご苦労と熱意に心からの敬意を表します。
私自身にできることは日常診療と並行して行っているワクチン接種くらいです。最近では日常診療の質を保ちながらワクチン接種を進めていくことの難しさを日々痛感しておりましたが、山岡先生のご講演を拝聴して勇気づけられました。「イベルメクチンはCOVID-19に対して有効か?」の答えが、「YES」であることを心から願いながら、私も自分にできることを一つずつこなしていきたいと思います。

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