弱視とは
弱視とは「視力の発達が障害されて起きた低視力」のことで、メガネやコンタクトをしても視力が上がらない状態をさします。弱視はこどもの25-50人に1人程度起こると言われています。(小児科臨床 Vol.72 No.8 2019) 視力は成長に伴って獲得する能力で、3歳ころまでに急速に発達し、6-8歳頃までにほぼ完成します。視力の成長期に適切な刺激が得られなかった場合には、視力の成長が止まってしまい弱視につながります。そのため早期発見と治療介入が大切です。
弱視の症状
- 目を細めて物を見る
- 物に近づいて見る
- 首を傾けて物を見る
- 目が左右で異なる方向を向いている
- 酷く眩しがる
上記のような症状から発見に至ることもありますが、ほぼ無症状で本人も家族も気づかないまま成長し、学童期の視力検査で発見され治療が遅れることもあります。
弱視の原因
弱視の主な原因は斜視、遠視、近視、乱視です。詳細は下記の通りです。
(生まれつきの白内障等が原因になることもあります。)
①斜視性弱視:眼の位置がずれる「斜視」のために、視力が発達しないこと
斜視になっている眼では眼の中心で物を見ることができないため視力が発達しません。
②屈折異常弱視:両目の遠視、近視や乱視のために視力が発達しないこと
ピントが合わない状態で物を見ているため視力が発達しません。
③不同視弱視:遠視、近視、乱視の左右差が強く、片目の視力が発達しないこと
健常な片目の視力は正常に発達しているため、無意識に見やすい目だけを使うようになります。
本人も周囲も片目の症状には気づきにくく、注意が必要です。
弱視の治療
視機能の発達が完成するまでに「網膜にピントの合った画像を写して刺激を与えること」が主な治療となります。
眼科を受診していただき、眼鏡をかけていただく等の治療が行われますが、視覚の感受性は年齢とともに低下するため早期発見、早期治療が望ましいです。そのためスクリーニングが重要となります。
弱視のスクリーニング検査
当院ではWelch Allyn社製のスポットビジョンスクリーナーを用いて検査を行っています。
検査対象は6ヶ月以降の乳幼児です。
まだ視力検査ができない乳幼児でも、斜視、遠視、近視、乱視、左右差の有無を調べることができます。
※この検査は眼科医による目の精密検査に取って代わるものではありません。
検査方法は1メートル程度離れたところから機器を数秒見つめてもらうだけです。
痛みを伴うこともなく、最短10秒程度で終了します。
当院では主に予防接種や健診の際に一緒に行っております。ご希望の方は、診察前に看護師にお伝え下さい。
自費検査となります。(費用:550円)