季節を感じる
まだまだ暑い日が続いています。
セミの鳴き声が少なくなり、徐々に夕暮れが早まり、夜に聞こえてくる鈴虫やコオロギの音色で秋への移ろいを感じるようになってきました。
皮膚科の診療をしていると、そのような虫の鳴き声や木々の様子ではなく、クリニックで遭遇する疾患の種類の増減で季節を感じることがあります。以下は、なにかの統計ではなく、日常診療を行っていて、わたしが体感しているものですのであしからず。
夏は皮膚科において一番患者さんが来られる季節です。日差しも強くなり日焼け(日光皮膚炎)をされたり、外出先でさまざまな虫に刺されたり(虫刺症)して、クリニックを受診される方が多くなります。猛暑といわれる現代においては、以前よりも「あせも」の方も増えたような気がします。また、俗に「風邪の華」などといわれる口唇ヘルペスも、強い日差しをうけて症状の出る方がいます。
一方で冬がやってくると、室内では暖房がつき乾燥が強くなります。そうしますと、皮膚の乾燥も悪化し、皮脂欠乏性湿疹の方が増えてきます。近年では湯たんぽを使う方が多くなったようで、とくに下肢(すねや足)に低温やけどをする方が見受けられるようになりました。低温やけどは皮膚の深い部分にまでやけどを起こすことがあり、治療にも長期間を要することがあります。ご使用の際には十分に注意ください。
冬が過ぎ、春が来ると花粉症で皮膚炎を起こす方がいらっしゃいます。一般的に知られている目のかゆみや鼻水・鼻づまりに加えて、顔中が真っ赤にかぶれることがあります。5月の大型連休ころになるとチャドクガの幼虫による毛虫皮膚炎も増えます。急に体中に細かいブツブツ(丘疹)が現れ、非常に強いかゆみをともなうことが特徴です。またこれは新潟県ならではかもしれませんが、連休ころの田植え疲れによるものか、帯状庖疹の患者さんも増える印象があります。
さて、これからやってくる秋ですが…。
実は秋にはあまり特徴的な皮膚疾患はありません。皮膚科としては、一番落ち着いた季節が訪れます…。