step by step
今回、5年ぶりに日本リウマチ学会学術集会へ現地参加しました。
福岡での開催ということで、日々の診療や家のことなどの日常をしばし忘れ、学会の雰囲気にどっぷりと浸かり、楽しく有意義な時間を過ごしてきました。
旧知の先生方にご挨拶ができましたし、大学の同級生からは、うれしいことに多くの同期達の横浜での活躍ぶりが聞けました。
たくさんの知的刺激を受け、今後の診療のモチベーションも上がりました。
私がこのクリニックに勤めて丸2年が経ち、3年目に入りました。
リウマチ膠原病疾患も、病状の安定した患者様を病院よりご紹介いただく他、ご自身で不安な症状があり当院を受診し診断に至るなど、この2年で460人を超える患者様に受診いただいています。
この機会に、クリニック参加当初の自身の気持ちを振り返り、現状を見直してみます。
まず、より患者様に近い立場で医療を行いたいという思いがありました。
病院では自身の担当する外来枠は限られたり、各部署で長く待ち時間がかかったりするなど、どうしても病院の都合に患者様があわせる仕様になります。一方、病院と同じ内容の外来診療・治療ができるなら、クリニックのほうがずっと患者様の利便性は高まります。
その意味では、多くはスムーズな検査や診療ができており、当初の目論見の1つはある程度達成できているのではないかと思います。
今年10月オープン予定の駅前のクリニックには、CT装置と骨密度検査も入り、より便利になるでしょう。
私は長く大学病院、総合病院に勤務していましたが、これらの病院は患者さまが紹介されて来るのを待つ立場です。
総合診療科の外来では、発熱やむくみなどの症状の原因が分からないとご紹介いただき、リウマチ膠原病疾患であると診断した患者様がかなりいらっしゃいました。
“後医は名医”と言われるように、すでにある程度の検査・鑑別が行われていたり、時間経過とともに症状が出そろったりで、病院へ来る頃には診断がつきやすくなっていることが多いです。ただ、病院紹介まではすでに一定の時間が経っており、病状も進行してしまいます。それを残念に感じることが多くありました。
例えば、高齢者は発熱や関節痛などで動けなくなると、筋力低下や心肺機能の低下、気分の落ち込みなどといった廃用がすぐに進んでしまいます。
その後に治療を行い病気はよくなっても、一度落ちた筋力などの機能は回復しても元々のレベルまでは到達し得ないと言われています。
より地域の皆様に近い距離で、より早い段階で診断や治療を行い、適切なタイミングで病院などへ紹介していきたい、そこにリウマチ専門医としての私の役割があるのではないかと考えました。
現在、残念ながらこの点に関しての達成度はまだまだかと思っています。
幸いにもクリニックの知名度があがり、ご本人が疑って受診してくださることが増えています。
今後は、より多くの地域の医療機関から、“まずはあそこに行ってみては”と言っていただけるような信頼を得ていきたいです。
また、内科のクリニックという性質上、感冒などの流行に応じて、1日の受診者数が大きく変化します。
混んでいる時にはどうしても多くの診療を行うことに追われ、もっと丁寧に診察や説明をしたい、しっかり対話して決めていきたいと思いつつも、十分な診療時間が避けないことに歯がゆさを感じています。
この点は、今後の診療状況によっては体制を見直すことも検討したいです。
どのような患者様にどのような治療を行い、どのような経過となっているかなど、自身の診療状況をまとめて見直すことも大事です。
当院ではこの2年、日本内科学会で、新型コロナワクチン接種や当院のCOVID-19診療状況についての発表をしました。
ゆくゆくは、リウマチ膠原病疾患においても同様なまとめや発表を行うことを目標とします。
いずれも、日々の丁寧な診療の積み重ねによって成し得るものです。学会参加で得た知識と高ぶった気持ちを保っていきたいと思います。