帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化により生じます。VZVには多くの方が幼小児期に感染し、水痘(水ぼうそう)として起こります。水痘の治癒後もウイルスは体内(神経)に潜んでおり、過労や加齢などにより免疫力が低下すると、ウイルスが増殖し神経に沿って皮膚に症状を起こします。患者さんは50歳以上のことが多く、年齢とともに増える傾向にあり70歳代がピークといわれます。
帯状疱疹で最も問題になるのは痛みです。急性期痛といわれる病気が始まった時の痛みだけでなく、一部の患者さんでは、帯状疱疹後神経痛といって数か月以上にわたり痛みが続くことがあります。
自費診療となりますが、発症を予防するワクチンを行うことができます。現在使用できるワクチンは2種類あります。
当クリニックでもこの2種類のワクチン接種を行っています。
ワクチンの種類と特徴
① 乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」(皮下注射)
従来からの帯状疱疹ワクチンとして使用されていました。
帯状疱疹の発生率が51.3%減少し、帯状疱疹後神経痛の発生率が66.5%減少し、帯状疱疹の重症度も61.1%低下したと報告されています。ただし、予防効果が数年から10年くらいで減弱します。
1回接種でよく、シングリックス®に比べて安価です(当クリニックでは8,800円です)。
他の生ワクチンを接種する場合には、27日間の間隔をとる必要があります。
生ワクチンのため、免疫抑制のある方などは接種をすることができません。
副反応は少ないです。
② シングリックス®(筋肉内注射)
帯状疱疹予防のために独自に開発されたワクチンです。
帯状疱疹の予防効果が50歳以上で97.2%、70歳以上で89.8%と報告されています。帯状疱疹後神経痛の発生率は50歳以上で100%、70歳以上で85.5%減少すると報告されています。
発症予防効果が少なくとも9年間はあるといわれていて、2ヶ月の接種間隔で2回接種が必要です。
当クリニックでは2回接種で44,000円と乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」に比べて高価です。
他のワクチンとの接種間隔の制限はなく、基本的にこのワクチンの接種ができない方はいません。
接種部位の痛みや筋肉痛など、副反応はやや多いです。
2023年6月26日より、帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の方も接種対象となりました。
<罹患するリスクが高いと考えられる者>
・疾病又は治療により免疫不全である者、免疫機能が低下した者又は免疫機能が低下する可能性がある者
・上記以外で、医師が本剤の接種を必要と認めた者
予防できる病気 | 品名 | ワクチンの 種類 | 接種 回数 | 一般的な接種の間隔 | 接種がすすめられる方 | 1回あたりの費用 (税込) |
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帯状疱疹 | シングリックス筋注用 | 組換え | 2回 | 2か月以上あけて (〜6か月以内に) | ・18歳以上でリスクが高い方 ・50歳以上 | 22,000円 |
水痘・ 帯状疱疹 | 乾燥弱毒生水痘ワクチン 「ビケン」 | 生 | 1回 | 帯状疱疹予防は50歳以上 | 8,800円 |