帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化により生じます。VZVには多くの方が幼小児期に感染し、水痘(水ぼうそう)として起こります。水痘の治癒後もウイルスは体内(神経)に潜んでおり、過労や加齢などにより免疫力が低下すると、ウイルスが増殖し神経に沿って皮膚に症状を起こします。50歳以上で発症することが多く、年齢とともに増える傾向にあり70歳代がピークといわれています。
帯状疱疹で最も問題になるのは痛みです。急性期痛といわれる病気が始まった時の痛みだけでなく、帯状疱疹後神経痛といって数か月以上にわたり痛みが続くことがあります。
帯状疱疹ワクチンには組換えワクチン、生ワクチンの2種類があり、当クリニックでは定期接種、自費による接種のいずれにも対応しています。
ワクチンの種類と特徴
① 「シングリックス®」(組換えワクチン、筋肉内注射)
帯状疱疹予防のために独自に開発されたワクチンです。
帯状疱疹の予防効果が50歳以上で97.2%、70歳以上で89.8%と報告されています。帯状疱疹後神経痛の発生率は50歳以上で100%、70歳以上で85.5%減少すると報告されています。
発症予防効果が少なくとも9年間はあるといわれており、2ヶ月の接種間隔で2回接種が必要です。
他のワクチンとの接種間隔の制限はありません。接種部位の痛みや筋肉痛などの副反応がみられることがあります。
② 乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」(生ワクチン、皮下注射)
従来から帯状疱疹ワクチンとして使用されていました。
帯状疱疹の発生率が51.3%減少し、帯状疱疹後神経痛の発生率が66.5%減少し、帯状疱疹の重症度も61.1%低下したと報告されています。予防効果は数年から10年ほどで減弱します。
生ワクチンのため、他の生ワクチンを接種する場合には、27日以上の接種間隔が必要です。
また、免疫機能に異常のある疾患を有する方及び免疫抑制をきたす治療を受けている方は接種を受けることができません。
◆2023年6月26日より、帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の方も接種対象となりました。
<罹患するリスクが高いと考えられる者>
・疾病又は治療により免疫不全である者、免疫機能が低下した者又は免疫機能が低下する可能性がある者
・上記以外で、医師が本剤の接種を必要と認めた者
当クリニックで接種可能な帯状疱疹ワクチン
予防できる病気 | ワクチン名 | ワクチンの 種類 | 接種 回数 | 一般的な接種の間隔 | 接種が すすめられる方 | 1回あたりの費用 (自費) |
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帯状疱疹 | 「シングリックス筋注用」 | 組換え | 2回 | 2か月以上あけて (〜6か月以内に) | ・18歳以上でリスクが高い方 ・50歳以上 | 22,000円 (税込み) |
水痘・ 帯状疱疹 | 乾燥弱毒生水痘ワクチン 「ビケン」 | 生 | 1回 | 帯状疱疹予防は50歳以上 | 8,800円 (税込み) |
高齢者の帯状疱疹定期予防接種について
<対象者>
長岡市に住民票があり、過去に帯状疱疹の予防接種を受けたことがない以下の方
①令和7年度に65歳になる方
②令和7年度に70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳以上になる方
③満60~64歳の方で、ヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害(身体障害者手帳免疫機能障害1級相当)を有する方
該当者にはお住まいの市町村からお知らせが届きますので、そちらをご覧ください。
<接種費用(自己負担額)>
・組換えワクチン「シングリックス」 18,150円×2回
・生ワクチン「ビケン」 4,950円×1回
※生ワクチン「ビケン」は、免疫機能に異常のある疾患を有する方及び免疫抑制をきたす治療を受けている方は接種を受けることができませんので、ご注意ください。
<接種期限>
令和7年度末(令和8年3月31日)まで
※令和7年度の対象者は、令和8年4月1日からは全額自己負担となります。
※2回接種の組換えワクチンの場合、期限までに2回目の接種を完了する必要があります。
◇長岡市ホームページ「高齢者の帯状疱疹定期予防接種について(令和7年度から)」
https://www.city.nagaoka.niigata.jp/fukushi/cate01/adult/shingles.html