メディカルレボリューション|メディカルビットバレー

DOCTORS TALK

第3回「未来への提言」

地方医療こそチャンス

日本の医療は専門化が進み細分化されました。それは医療の進化であり、素晴らしいこと。スペシャリストたちの能力を最大限引き出すには、社会の中で医療がどのような立ち位置にあるのか、全体の状況を見て判断できる大局観を持ったリーダーが必要です。しかし、日本の医療界は俯瞰的に物事を見られる教育をしていません。むしろ、大局観のある人や、若い人の新しい考えを拒絶する閉鎖性がある。とても残念なことだと感じています。

医療は誰もが必要とするインフラ的要素が強いことは事実ですが、特別な存在ではなく、社会システムの一つであると認めることで、もっと自由な動きができる。これからの医療には、稼働しながら成長する、人もサービスも循環しながら底上げするビジネスの感覚が不可欠です。その場限りではなく未来まで見据える大局観を持った医師を育てるのがMBV最大の使命だと思っていますし、今後10年間は力を注いでいきます。

新型コロナ禍は病院や既存のクリニックとは違う役割を担う、新しい形の医療機関の必要性を顕著にしました。同じ志を持ったMBVのメンバーがチームワークすることでシナジー効果が高まり、巨大なパワーを生んだ結果は、ワクチン接種実績や業績アップの数字が証明しています。時代に即した新しい人的医療システムを創れる有能なビジネスパーソンと医師の協働で、地方のクリニックでも医療の質を高めながら、安定した経営ができることが明確になったのです。新型コロナ収束後もこの新しい価値観は広がり続けるでしょう。

地方医療は疲弊していると言われていますが、まだまだエネルギーが眠っています。創業以来、MBVの概念や方針について、さまざまな所から出る杭を打たれまくったことで逆に実感しました。今まで変化を嫌ってきた分、これからもっと良い方向に劇的に転換する力が蓄積している。大チャンスが地方医療にはあるんです。今後は医療界も切磋琢磨が当たり前になり、それが地域全体の活性化につながる。未来の医療に時代遅れの慣習としがらみは要りません。

僕は自分が働きたい場所としてMBVを創りました。医療と経営を分離し、メンバー全員が一体感を持って働きやすい環境での経営黒字化。法人の役員に創業者である自分の血縁を入れず、年功序列や男女格差のない、頑張ればいくらでも上を目指せる実力主義の組織構築。志を同じくする少数精鋭のメンバー同士がフラットな立場で支え合い、自己成長できる人事体制。一時的な金儲けではなく長くしっかり続けられるよう、中心に据えるのは保険診療。このような価値観は若く柔軟な頭でないと理解できません。僕自身は、いつまでも創業者パワーに頼って後継者が育たない環境を避けるよう、理事長としての活動期限を決め、常に後継育成を心がけています。

5年後、10年後の具体的な姿は分かりませんが、MBVが起こした新たな概念が波及することは確信しています。一生懸命に仕事をする人が報われ、若い世代が地域も国も良くすることができると、誰もが関心のある医療から発信していく。MBVの進化は続きます。

澁谷 裕之(しぶや ひろゆき)

医療法人メディカルビットバレー 理事長

新潟県長岡市生まれ。
弘前大学医学部卒業。
2020年4月に医療法人メディカルビットバレーを設立。

家庭医療専門医、プライマリケア認定医。
好きな言葉は「即断即決即実行」、「適材適所」。

好きな仲間と、好きな場所で、
ワクワク仕事して、サイコーの業績をあげる!