医療法人メディカルビットバレー

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縁あれば千里

2024年9月18日

いつも、ありがとうございます。

今年は残暑がことのほか厳しく、9月に入っても気温の高い毎日が続いています。暑さの残る越後平野もいよいよ実りの季節を迎え、秋の到来を感じるようになりました。たわわに実った稲穂がこうべを垂れ、一面に広がる黄金色の田園を眺めていると、なんとも心豊かな思いになります。

新潟県初の「画像診断センター」設立へ向けて

2024年9月29日(日)ホテルオークラ新潟にて「新潟医療シンポジウム」が開催されます。日本放射線学会の権威である大阪大学の富山教授や、神戸大学の村上教授らによる講演とパネルディスカッションが主な催し。私もパネルディスカッションにパネリストとして登壇します。

今回の医療シンポジウムは、新潟県に「画像診断センター」を設立する、その第一歩として開催されます。画像診断センターとは、体内を画像化する医療機器「CT」や「MRI」の検査と、それらの画像から診断する読影に特化した医療施設。ご存じの方も多いとは思いますが、CTはX線を用いて体の内部を断面画像として撮影する検査、「MRI」は強力な磁力と電波により臓器や血管等を画像化する検査。どちらも現代医療に欠かせない医療機器です。

しかし、このCTやMRIは、非常に高価な医療機器で、一台数千万~数億円します。多くの患者さんが訪れる病院でないと費用対効果の関係で導入が難しいのが実情です。東京や大阪といった大都市圏ならいざ知らず、人口が少ない地方都市となると、大学病院など地域の中核となる大病院クラスでないと導入が困難。CT・MRIによる画像診断を必要とする患者さんが、数少ない病院に殺到することになります。その結果、検査のみで数カ月待ちという状況も珍しくはなく、患者さんが不安を抱えながら過ごしている現状に心を痛めています。

病気を患っている人、あるいはその疑いがある人は、すぐに診断を受けて適切な治療をしてほしいと願うもの。迅速なサービス提供は医療にとって最優先事項の一つ。画像診断待ちを減らすためには、画像の検査や診断に特化した「画像診断センター」の設立が有効な解決策だと考えます。

画像診断センターにおいてCT・MRIの読影を効率的に進め、その結果を病院や診療所と共有することで、大学病院など地域の核である大規模病院の負担は軽減されます。新潟県に初の「画像診断センター」が設立されれば、新潟県の医療体制は今よりもずっと効率的で効果的なものとなります。

“相性の良さ”が生んだ「新潟医療シンポジウム」

今回の「新潟医療シンポジウム」にパネリストとして参加することになったのは、私が普段から大切にしている「人のつながり」が結実したからです。

メディカルビットバレーが運営するエールホームクリニック長岡では、CTの共同利用を推進しています。長岡にある他の診療所にも当院のCTを使ってもらえる体制を整えています。高価な医療機器であるCTは、小さな診療所では導入が難しいと思います。結果、CTの撮影が必要な場合は、紹介状を書いて大学病院など大規模病院に患者さんを案内することになります。そこで、メディカルビットバレーでCTを所有し、地域の医師や診療所で共同利用する取り組みを行っています。

その一環で、CT検査の画像診断を遠隔読影サービス専門会社「シップヘルスケアグループ(株)大阪先端画像センター」に依頼しています。大阪大学放射線医学講座に属する画像診断専門の先生が、画像診断を担当してくれることになったので、大阪大学大学院の放射線医学の富山教授の許へ、ご挨拶に伺うことになりました。2023年7月14日の話です。

富山教授の御高名は、もちろん存じており緊張しながらも、大阪までご挨拶に行きました。初対面のどこの馬の骨ともわからないような私にも偉ぶることなく、丁寧に接してくれ、私が普段から周囲に伝えている「地方医療の改革」の話にも熱心に耳を傾けてくれました。

人間関係には“相性”という不思議なものがあります。なんだかわからないが気が合う。お互いに考え方に共鳴する。考え方や人との接し方のリズムが合致する。私と富山先生は相性が良かったようで、すぐに意気投合。その後もプライベートで親しくお付き合いさせていただいていました。

富山先生と親しくさせていただくうちに、段々と新潟の医療に関心を持ってくださり、この画像診断センター設立というアイデアを頂戴しました。地方医療を前進させたいという想いは大きな共感の輪を広げ、大手医療機器メーカーのシップヘルスケアホールディングス様やシーメンスヘルスケア様、地元の金融機関である第四北越銀行様、地元マスメディアであるBSN様や新潟日報社様、そして地元の医療機器販売を手掛けるクロスウィルメディカル様など多くの皆さまからのお力添えをいただき、この取り組みについてのご取材を受けるほか、今回のシンポジウムへと繋がっていきました。地方医療を進歩させたいという共通の志は、いま大きなムーブメントを引き起こしています。

縁あれば千里を隔てても会い易し、縁なければ面を対しても見え難し。日本の放射線医学の第一人者であられる富山先生のお話を拝聴できる大変貴重な機会。人の縁が生んだ「新潟医療シンポジウム」で新潟の医療体制が今また一歩前進する。私はそう確信しています。

このnoteをご覧の皆さまもぜひ会場まで足をお運びいただけますと幸いです。

特別に申込期間を延長して受付を行っておりますので、どうぞ下記リンクより事前登録をお願いいたします。会場でお待ちしております!

▼新潟医療シンポジウム特設ページ
https://mbv.or.jp/symposium

澁谷 裕之(しぶや ひろゆき)

医療法人メディカルビットバレー 理事長

新潟県長岡市生まれ。
弘前大学医学部卒業。
2020年4月に医療法人メディカルビットバレーを設立。

家庭医療専門医、プライマリケア認定医。
好きな言葉は「即断即決即実行」、「適材適所」。